柔道の技には、基本的な技の発展型として、崩し技と巻き込み技があります。
崩し技は、背負い落としなど、技に一発で入れなかった時のバックアップ技という意味で使うことが多くあります。
対して、巻き込み技は、払い腰などで技の掛け方が浅かったりしした場合に、トドメとして使うような意味があります。
体重を利用して巻き込むことになるので、特に体重の重いクラスでは頻繁に使われることがあります。
ただし、その有効性とは裏腹に、軽いクラスに対して使うと予想以上のスピードで巻き込むことになるので、事故も起こりがちです。
巻き込み技の有効性
基本的には、払い腰、大外刈り、跳ね腰、内股など身長が高い人たちが使う技に付随することになります。
入り方としては、相手の引き手を引きながら、その腕を自分の脇の下に挟んだ状態で、体を捻り、そのまま投げる。
外から見ると、相手の体を自分の体を捻り傾けながら畳に叩きつける形になります。
体の大きい選手、体重の重い選手が、体重を利用して投げるので腕を脇で挟んで抜けないようにしてしまえば、体重の軽い選手は簡単に投げることが出来るようになります。
逆に体が小さく、体重が軽い選手が、自分より大きな相手や体重のある相手に対しては、体重が軽いゆえに耐えられてしまうこともよくあります。
大きな選手が困った時によく使う技と覚えておくと、いざ試合でも警戒することが出来、対策が取りやすくなります。
巻き込み技の危険性
基本的に体が大きく、体重の重い選手が有効に使うことの出来る技と言いましたが、重い人同士ならゆっくりとした動きで投げるので怪我することも少ないです。
でも、これが軽い選手に掛けたとしたらどうなるか、瞬時に投げられ、スピードも速いために、想像以上のダメージを受けることになります。
体重に加え、捻るスピードも加わりますので、場合によってはすぐに立てない可能性も出てきます。
試合では、軽い選手は重く力のある選手に対して、動くスピードでカバーしようとします。
すると大きい選手は、ちょこまかと動かれ、技が掛けられなくなることにより、焦りと同時にイライラしだします。
うまい具合に巻き込み技に入れたときには、ここぞとばかり思い切り掛けてくるに違いありません。
巻き込み技は勢いが余ったときには、畳に投げた後に、相手に乗りかかることもあります。
つまり、投げただけでなく、相手にのしかかられる、というおまけが付くことが殆どです。
この時に事故が起こりやすく、肩を脱臼したり、鎖骨や上腕を骨折したりしてしまいます。
投げるときにのしかからないようにして欲しい、と思うでしょうが、試合中はコントロール出来る筈もありません。
過去に試合中の骨折を見ていますが、大体は巻き込み技が原因でした。
巻き込み技は怖いのもだと言うことは、覚えておいた方がいいと思います。
巻き込み技は使いべきか
巻き込み技は、腕を脇に挟んで体を捻るだけで投げることが出来るので、比較的簡単に覚えることが出来ます。
それ故に、巻き込み技を多用して、基本的な技がきちんと出来ないという現象も起こっています。
どの投げ技でも同じですが、相手に怪我をさせるようでは、まだ半人前だということを自覚しておいた方がいいと思います。
技が相手に掛からず、崩し技や巻き込みに走りがちですが、逃げていることに他ならないので、基本技をきちんと覚えましょう。