柔道には元立ち乱取りと呼ばれる練習方法があります。
別な言い方ですと、掛かり稽古とか当たり稽古などと呼ばれることもありますが、要は一人で何人かと連続で乱取りをしなければならないと言うものです。
大会で勝つための重点練習として、または、忍耐力を付ける意味で行われますが、練習で指名された時の驚きと恐怖は忘れられません。
数本連続で乱取りをするのですが、人数を重ねるに従いバテて体は重くなり、腕も足も動かず、先生からは怒号を食らった記憶があります。
当時は、これは体のいいいじめではないのか?と真剣に考えたこともあり少しトラウマになってしまったようです。
大会に出て勝つ気があるなら自分から希望するべき
いじめという感覚が生じやすいのは確かにありますが、大会で勝ちたいのなら必要な練習であると考えています。
何故なら、個人戦で大会に出た場合決勝まで行くことを考えると、何人を相手にしなければいけないかが大よそ分かると思います。
最初から負ける気満々で、試合に出る人もほぼいないと思いますが、一番上を目指すのであればそれ相応の人数を相手にする必要が生じます。
この状況を仮定して行う練習が、この元立ち乱取りであり、全ての試合で時間いっぱいに戦うワーストケースを想定していることになります。
どんどん勝ちあがっていくと、体力は削られ、体も重くなり力も入らなくなってきます。
そんな中でいかに相手より少しでも優位に立てるかが、この乱取りがきちんと出来たのかで決まると言ってもいいと思います。
因みに団体戦の勝ち抜きでも同様で、勝てば大将と当たるまで試合を行うことになります。
団体戦ですから当然、自分より体格も良かったり、体重も重かったりということも十分に考えられます。
そんな状況を想定した、実践的な練習であると考えたほうが良いと思います。
元立ち乱取りをする場合の相手は
個人戦なら体重別と言うことになりますので、同じ位の体重の相手を数名選び相手とするほうがいいかと思います。
問題は団体戦の勝ち抜きを想定した場合ですが、どんな相手が実際の試合で相手になるかが分かりません。
体重が重いのか、身長が高いのか、筋力はあるのかなど正直考えたらキリがありません。
その様な場合は、その場にいる中で体重の重い選手を選定すると良いと思います。
特に中学や高校など部活で、この乱取りを行う際には回りは同じレベルが固まることになります。
体重など少しでも本人にとってハンデになるような相手をあてがう事で、レベルアップ出来ると考えます。
もう一つはOBなどに協力してもらい、社会人で活躍している人を相手にすることです。
よく有名な柔道の名門高校などですと、OBということで警察官や自衛隊員、はたまたそのお知り合いなど多種多様な相手が集まることもあります。
普段相手にしない得体の知れない人ばかりですので、ちょっと怖いですが、確実にレベルは上がります。
地域の道場などですと、中学生や高校生だけでなくより高段の社会人も混じることになります。
より自分よりもレベルが上の方を相手にした方が、より試合で有効になるかと思います。