柔道をしている者にとって、黒帯、つまり初段を取ることは憧れになります。
中には子供の頃から道場に通い、何年も練習した後、黒帯を取れば一生忘れられない感慨深いものになるでしょう。
黒帯を取るために避けて通れないのが昇段審査ですが、その実施される内容については厳密に全国共通とはなっていません。
いろいろなパターンが存在するようですので代表例についてお話したいと思います。
昇段審査の進め方と内容
都道府県によって実施する内容や合格基準が異なりますが、柔道の場合は実戦形式で行われるということです。
剣道の場合ですと、面打ちや型の見て審査しますので実際に試合をして昇段させることは、一部の流派を除いて殆どありません。
空手もフルコンタクトでは、実践形式で試合をすることがありますが、寸止め空手の場合は、型のキレイさや、基本的な突きや蹴りの動作を見て判断します。
なお、柔道にも投げ、固め、絞め、極め、当身の型がありますが、この型を昇段審査では行いません。
型は合格した後ということで、全て実践形式で相手と闘うことになります。
体力や筋力がある人にとっては支障にならないかも知れませんが、体が出来上がっていない中高生にとっては非常に厳しいと感じることもあります。
因みに、試合は男女は別になりますが、体重無関係、つまり小さくても大きくても一緒くた。
昇段審査解禁になった中学生でも、30才ぐらいの大人の人でも同じ畳の上で戦うことになります。
100キロを超える人が来た時には、もう戦意喪失になってしまいますが。
ポイント制で取得するパターン
首都圏の審査で多いパターンですが、試合をした数、つまりポイント加算で合格とする場合です。
場所によっては、合格ラインが10試合などある場合もありますので、2回ほど行かないと昇段できないということもあります。
余程未熟な技を掛けたり、反則をしたりしなければ昇段できますが、何回か通うことになるのでちょっと面倒ではありますが。
勝ち数で取得するパターン
私が実際に昇段審査を受けたパターンですが、まず昇段審査当日に各段位を受けに来た者を集めます。
初段であれば、数十人集まるので、4~5名のグループに分けます。
そのグループ内で実際に総当りで試合を行い、勝った試合数-負けた試合数=勝ち数が規定以上残れば合格となります。
勝ちは1ポイント、負けは-1ポイント、引き分けは0ポイントというように、ポイントの引き算になります。
例えば、5試合行い勝った試合が3、負けた試合が1、引き分けが1だとすると、3-1-0=2で合格ラインが2以上だとすれば合格。
下回れば不合格という形になります。
昇段審査が受けられないパターン
殆どの方は、町の道場や学校の部活で柔道をやられていると思いますが、まれに”筋力があれば受かる”という言葉を真に受けて受験しに来る人もいます。
いわゆる冷やかし半分ですが、柔道を始めて1ヶ月もしないうちに来る人もいます。
因みに講道館の初段を受ける際の条件と言うものがありますが、年齢は14歳以上、経験は道場や学校の部活で1年半以上の経験者とあります。
年齢はごまかせませんが、経験年数はいくらでもごまかしが利くので、このようなことが出来てしまいます。
実際にあった話ですが、昇段審査では試合をするわけですが、礼もまともに出来ない、技がめちゃくちゃ、力だけで振り回して明らかに初心者と分かるケースがありました。
その方は、審判に試合を止められ、”礼の仕方も、技も掛け方も知らないレベルなら来なくていい”と言われていました。
受験料も返され渋々帰っていきましたが、昇段審査を受ける際には推薦状も必要になるので、所属する指導者の方はこっぴどく怒られたようです。
このようにきちんと練習をし、柔道の基本が出来るようにしてからでないと嫌な思いをすることになるので気をつけたほうが良いですよ。
因みに昇段審査には、高段者の方々もおり礼儀や態度も見られていますので、適当に行うと指導されることになります。
気を抜かないで真剣に受けることをお勧めします。