柔道の投げ技に払い腰と言うものがありますが、豪快に決まった時のキレイで鮮やかな技に目を奪われます。
ある意味、柔道の投げ技でも習得を目指したい技の代表格であることは、間違いないでしょう。
しかし、払い腰をキレイに決めるには並大抵の努力では成功しません。
なぜなら、払い腰は動きが大きく、予測がしやすいため、返し技を掛けられたり、潰されたりしやすく、リスクも大きい技です。
このような特徴がありますので、ポイントを抑えながら返されたりしない練習をすることを念頭に置くようにしましょう。
払い腰のデメリット
まず、デメリットからお話ししますが、払い腰は、相手を引き出し半身になったところを、重心の乗っている足を払うことで投げる技です。
この時に、自分の軸足は固定することになりますが、棒立ちになることが多いです。
相手をきちんと崩せていれば、問題は無いのですが、崩し切れずに相手に堪えられてしまった時は、逆にこの棒立ちの軸足が狙われてしまいます。
相手が堪えた後、払いに来た足を抱え、軸足を刈られたらもうなす術はありません。
後ろに返され、ポイントを取られてしまう確率は高くなるでしょう。
重心が前に行っているならこちらの技が決まる確率が高いが、逆に重心が後ろに行くと相手に返される確率が高まる技と覚えておきましょう。
払い腰のメリット
払い腰は返されやすい技、と申しましたが、足だけを相手の片足に掛けるような、見かけだけの技では簡単に返されて当然です。
しかし、相手の姿勢を崩し、重心を完全に前に移動させたときは、逆に相手はなす術無しになります。
もう返せる可能性はほぼゼロに等しく、殆どの場合一本で決まる最強の技になります。
性格的な部分も関係しやすい技ですが、返し技上等、とばかりに返されることを気にしない性格の人が多いようです。
それ故に、勝つか負けるかがはっきりしてしまいますが。
返されない為の払い腰を掛けるポイント
デメリットのところでもお話しましたが、中途半端に入ると返される可能性が高くなります。
きちんと掛けた払い腰を決める為には、相手の重心をきちんと崩す必要があります。
まず、引き手は、相手を十分に前に引き出すために不可欠ですが、相手の上半身がつんのめるような形にしなければなりません。
可能なら相手を片足立ちにさせ、かつ、爪先立ちまで持って行ければ、この時点でほぼ相手を崩せたことになります。
これで、残った足を払ってしまえば、相手は投げられるしか無く、技が決まることでしょう。
と、ここまでが基本形の掛け方ですが、より確実性を増すためには、一工夫が必要になります。
それは、相手に返し技を掛けさせないようにすることです。
十分に技が掛けられたと思っていると、急にふとももを抱えられ後ろに返された、という経験があると思いますが、まさに注意を怠った結果です。
対策としては、払い腰を掛ける際に、相手に対して背を向けた状態で技に入らないことが重要です。
背を向けた状態だと、相手の動きが見えなくなり、足を抱えられるのか、軸足を払いに来るのかが分からず、いつの間にか返されてしまう事になります。
この状態を回避するためには、相手を引きながら大外刈りのような体勢になり、足を引っ掛けるようにします。
これなら相手とは向い合せになるので、動きが見やすくなり、返し技を掛けようとしても対処できます。
払い腰の最大の弱点が足を抱えられることなので、警戒しつつ大内刈りを掛けるふりをして、払い腰に移行すると、足を取る暇もなくこちらの思う通りに進められます。
なお、相手の体を半身にし大外刈りを掛けるようにした後、通常の払い腰のように引き出しながら足を払うのではなく、自分の体を捻りながら払うといいでしょう。
返し技を掛ける隙も無くなりますので、より確実に払い腰を決めることが出来ます。
何度も返されることで見えてきますので、自分でいろいろと研究してみてください。