道場や部活で柔道を習い始めると、まず最初に受け身を練習させられます。
何故だと思いますか?
畳の上を転がったり、畳を叩いて痛い思いをしたりと、いつまでこんなことをさせるのか?と疑問に思うでしょう。
でも、この受け身がうまく出来る出来ないが、身を守ることはもちろん、投げ技の良し悪しを左右する要因になっているのです。
受け身の種類と実際の使い方
受け身には、前受け身、横受け身、後ろ受け身、前回り受け身があります。
前受け身は、体の前で腕をハの字にして、そのまま畳に倒れこむことで、腕全体で体重を支えるもの。
横受け身は、体を横へ倒し腕で畳を叩いて衝撃を分散するもの。
後ろ受け身は、後ろに倒れた時にあごを引いて畳を叩いて、衝撃を背中と腕で分散するもの。
前回り受け身は、四つん這いの状態から、片方の腕をもう片方の腋の下に滑り込ませ、そのまま前回りの要領で転がるもの。
どの受け身も、倒れた際の衝撃を分散したり、逃がしたりすることで、胴体や頭へのダメージを減らす目的があります。
でも目的はそれだけではありません。
受け身には、もう一つの目的がある
受け身は、投げ技を掛けられ畳に叩きつけられる際の、衝撃から身を守るためのものですが、違う意味もあります。
全ての受け身と投げ技は動作が似ている部分があり、受け身の動きがスムーズにできるようになると、技のキレも良くなります。
例としては、前回り受け身は背負い投げの動作と共通しており、相手を背負ってから投げるまでの動作は前回り受け身そのものです。
よく受け身が下手な奴は、投げ技も汚い、と先輩に言われることがありますが、確かにその通りです。
よく観察してみると理解できるでしょう。
例外として、力で強引に投げている人もいますが、キレイさという点では見劣りするでしょう。
受け身はいざと言う時役に立つ
柔道を何年間も経験していると、受け身も考えずに出来るようになります。
すなわち、自然に体が覚えた状態になります。
一度体で覚えると、柔道をやらなくなっても勝手に体が動くようになります。
凍った路面で滑った時や、落ちている物に躓いた時など、そのまま行けば大けがするところが、大した怪我もなく済んだという経験もすることでしょう。
その時には、覚えておいて良かったと思える筈です。
技に行き詰った時には受け身の動作を考えてみる
このように受け身は体を守るだけでなく、技を掛ける際の動作の一部として成り立っているため、きちんと覚えておくと有効に活用できるでしょう。
投げ技で、いくら練習しても上達しない、技が返されやすいなど、スランプに陥ったら基本に返って、受け身の動作と技の関連を考えてみるといいでしょう。
意外に力まなくても、技が掛かることが分かり、もやもやが解消されることになるかも知れません。
柔道は、筋力や瞬発力も必要ですが、力に入れ方を考えることも必要です。
意外に頭を使いながらうまくなる方法もあるので、考え出すと学校の勉強よりも楽しいですよ。