現在の柔道には、元になった柔術のように当て身技 つまり拳や手刀を使って相手に打撃を加えたりする手段はありません。
ゆえに、打撃に対する防御、空手で言うところの受けは無いことになります。
柔道では、あくまでも相手を掴んで投げたり、寝技で押さえ込んだりと言うように、接触した上で相手を倒すことになります。
因みに空手やボクシングのように打撃系の格闘技を剛拳、柔道や合気道のように組み技系の格闘技を柔拳と呼ぶこともあります。
では、柔道を学んでいるだけでは、いざ暴漢などが殴りかかってきた際の打撃対策は出来ないのでしょうか?
柔道から当て身技を無くした弊害
元々、柔道の元となった柔術には当て身技が存在しました。
戦国時代に編み出された柔術は、相手を倒す つまり殺すのが目的ですので、投げ技、絞め技、関節技以外に、拳での突きや足での蹴りもありました。
それが江戸時代以降平安の時代に入ると、使う必要が無くなり次第に衰退していくことになります。
柔道を編み出した嘉納治五郎先生が、柔術からそんな平安の時代にそぐわないと、当て身技などを廃止し、体を鍛え有用に使うことを目的とし柔道が誕生したわけです。
しかし、同時にいざ暴漢などに会い、打撃を加えられた場合には防御方法を知らないため、重傷を負うこともあり柔道は弱いとも言われた時期もあったようです。
因みに柔道を習い、この弱点とも言える部分に気付き、空手を習い打撃の攻め方や防御方法を知ることで補完しよう、と考える人も出てくるようになりました。
でも、そこまでしないと打撃から身を守ることは出来ないのでしょうか?
応用次第で打撃対策になる
確かに、柔道だけを一生懸命練習した場合、いざ突きや蹴りを出されるとどう対処していいのかが分からず、防戦一方になることは想像できます。
でも、結論から言うと防御だけなら柔道の練習でもある程度は防げるようになります。
さすがに空手の有段者や格闘家の打撃を防御することは至難の業ですが、一般人のレベルなら数発は何とかなるかと思います。
顔面に対する突き対策ですが、柔道の練習中に襟を掴みに来た手が間違って顔面に入った経験があるかと思います。
そんな時にとっさに首を引っ込めたり、腕を挙げて払ったりすることで回避することが出来ます。
これと同じ要領で、顔面に来た突きを払う動作の訓練になります。
腹などの中段と足に対する下段に対しては、柔道の練習では残念ながら代用できませんが、足払いを何度か受けているうちに打たれ強くなっているのは確かです。
腹などの打撃に対しても、1・2発なら耐えられるだけの頑強さが備わっています。
その証拠に、柔道をしていると腹筋はガチガチに硬くなり間違って腹に手や足が当たっても平気な筈です。
普通はこれで十分ですが、暴漢に合った場合は無理に格闘せずに逃げたほうが無難です。
相手は素手とは限りませんので。