一本背負い。
柔道でも豪快な投げ技として、良く使われるものですが、オリンピックで金メダルを取った、古賀俊彦選手の得意技としても有名です。
主に身長の小さい選手が得意技にしやすい技ですが、大きな選手を投げ飛ばす様は、まさに柔よく剛を制す柔道の心得そのものです。
では、どのように練習すれば、大きい人を投げられるようになるのでしょう。
背負い投げには2種類あります
背負い投げには2通りあります。
両手で相手の引き手と釣り手を持って投げる、双手背負い。
引き手のみを持ち、もう片方の手で相手の腕を抱え込むようにする、一本背負い。
どちらも、初心者が始めた頃によく習わせられるものですが、タイミング、力の入れ方、力の方向、どれかが欠けてもうまく投げることが出来ません。
それに相手に背を向けるので、返されることも多く、一本を取りに行って、逆に一本取られることもある難しい技です。
ではどうすれば、理想的な一本背負いが出来るのでしょうか?
相手を崩せば、力が少なくて済む
さて一本背負いですが、腕が一本で投げることになるので両手を使って投げる、双手背負いより相手を引き出す力は半減します。
そうなると力に頼ることが出来ないので、タイミング重視で掛けることになります。
どの投げ技でもそうですが、相手がどっしりと動かない場合、つまり踵が畳に着いている場合は、いくら技を掛けても掛かりません。
一本背負いは相手が動いて、前、もしくは斜めや横に動いたときにすばやく相手の懐に飛び込んで掛けなければいけません。
それに飛び込んだと同時に、引き手を抱え込み、相手を背負い、重心を前に掛けて一気に投げます。
この時、前回り受け身の要領で投げると、力をあまり入れなくても投げられるので、覚えておくといいでしょう。
確実性をより増すために出来ることは何か?
一本背負いはタイミング重視で掛ける技ですが、掛け方が不十分だと返される確率も上がる双刃の剣と言えます。
では、どうすれば相手は逃げることが出来なくなるでしょう。
それには2通りあります。
1つ目は、相手を両方の腕で前方へ釣り上げてから、技を掛ける方法。
これは、相手の足が爪先立ちになった瞬間、つまり急に何かにつまずいて、おっとっと、となった瞬間。
この瞬間に相手の重心は、高い状態で前に移動しているので、引き手を少し引いてあげるだけで、背負うことが出来ます。
2つ目は、相手の下に潜り込んで、持ち上げる方法。
これは双手背負いでよく見ますが、腰を低く落として、相手の股の間に潜り込み、引き手を引いたまま持ち上げる方法です。
膝を畳に着けてもいいのですが、そのまま潰されたり、持ち上げられなかったりして自滅するパターンが多いのであまりお勧めはしません。
もっとも、重量級が相手ではそのままでも簡単に持ち上がりませんが。
背負い技の弊害
背負い技はその名の通り、相手を背負って投げる技ですが、体への影響もあります。
主に自分より身長の高い選手に有効な技で、重量級の選手にも使うことがありますが、それ故に体にダメージを与えることが多くあります。
膝を曲げて持ち上げる、と言うことは、自分の体重プラス相手の体重ということになります。
当然膝に掛かる荷重も増えるので、中高生の身長の伸びが停滞したり、止まったりする原因にもなります。
中にはひざを痛めたりすることもあるので、なるべく背負っている時間を短くするとか、膝をあまり曲げないで投げれるようにするなど工夫が必要です。
怪我に注意して技を磨いてください。