柔道の投げ技である出足払いは、その名前の通り、相手が出してきた足を払って倒すものです。
人間は二足歩行する動物ですので、片足だけでは不安定になり、数分もしないうちにバランスを崩すでしょう。
立っているだけでもこのような状態ですから、動いているときに片足が滑ったり、挫いたりしたらどうなるかは想像するに容易いと思います。
出足払いは、このように相手が動いた時に出された足を刈るため、力があまり必要無く、タイミング重視の柔道技と言えます。
小外刈りとの違いと基本形
柔道の似た技に小外刈りがありますが、狙う足は同じになります。
ただ、片方は”払い”で、もう一方は”刈る”ですので、前者は待っている形で、後者は自分から積極的に、という姿勢が伺えます。
出足払いは”待っている状態”ということで、相手の足が出るのを待ち構えて技を出すのが基本形になります。
人間が歩く動作を例にしますが、相手の足が地面から離れて空中をスライドする瞬間を狙います。
歩く時、踵が地面から離れ、次につま先が離れますが、踵が離れてから次に踵が地面に着くまでは、極端に言うと浮いている状態になります。
この浮いている状態、かつ、スライドしている状態で、かかとの後ろ側から自分の足を添えてアシストしてやれば、簡単にコケることになります。
これに、上半身の腕の力が加われば、勢いが付いて相手は仰向けに倒れることでしょう。
出足払いの応用の仕方
乱取りや試合などで出足払いを掛けてみると分かりますが、相手と正面から向き合っている場合には、まず掛かりません。
相手の足が出た時、つま先方向にアシストしますが、正面からだとつま先が自分の方向に向くため、刈るしかありません。
これは、小外刈りになりますので、出足払いとは異なってしまいます。
相手に対して左右斜め方向から真横のあたりまでであれば、相手の足が自分から見て横に動くので掛けやすくなってきます。
相手とこの角度をキープし、足が動いた瞬間を狙ってアシストすると出足払いとなります。
ということは、常に相手の横位置に立つ様にすれば、出足払いがいつでも狙えるということになります。
普段相手に対して、半身になると技を掛けられやすくなるので、止めなさいと言われますが、自分で応用し技の掛けやすい位置をキープすることも必要です。
それに出足払いを掛けて失敗しても、手で足が取りやすいという利点もあります。
足払いで失敗したからと言って、手を使ってはいけないという規則はありませんので、しつこく足を取りに行きましょう。
引き手と釣り手の使い方
足をうまく払えたとしても、上半身の崩れが起こらないと、相手に踏ん張られてポイントにならないでしょう。
どこも掴まずに、柔道の練習や試合をする人は、まずいないでしょうから、引き手と釣り手を持つことになります。
足を払って、引き手や釣り手で引くわけですが方向を間違うと効果は半減します。
例として、右組みの場合は、右腕は釣り手、左腕は引き手になりますが、相手の左足を払った場合は釣り手を真下に引くようにします。
相手の右足を払った場合は、引き手を真下に引くようにします。
こうすることで相手の体は、斜め後ろに重心が傾くようになり崩れるように畳に倒れるでしょう。
分かりやすい形が、立った状態からの横受け身です。
自分の片足を前にスライドさせ、もう片方の足を曲げると崩れるように畳に落ちる形になると思います。
この時自分の重心は、斜め後方になっている筈です。
この感覚を覚えておくと、相手の腕をどう引けば、どの方向に引けばいいのかのヒントになると思います。
何をやっても出足払いが掛からない人
歩く時に一瞬浮くと言いましたが、足払いが掛からない人が必ずいます。
それは、すり足が完璧に出来ている人です。
柔道を始めた頃に、足を畳から離さない、すり足という歩き方を習うでしょう。
受けが強いと言うことにも繋がりますが、このような相手の場合は足技で倒そうとするのは厳しいかもしれません。