柔道の投げ技練習に、打ち込み練習と言われるものがあります。
主に相手を動かさずそのままにして、技を掛けて、技の入り方、引き手や釣り手の力の入れ方を練習します。
これが基本の練習方法になりますが、これがきちんとできないと、試合では掛からないことになります。
打ち込み練習の位置づけ
柔道の練習メニューは初めから終わりまで、だいたい以下のような流れになります。
準備運動⇒寝技⇒打ち込み練習⇒乱取り(主に立ち技)⇒クールダウンが一般的。
その他に、投げ込み、立ち技から寝技への連携なども実施している道場もあります。
中学や高校で強豪校と呼ばれる学校では、乱捕り練習などのより実践的な練習をメインにするところもありますが、例外と考えていいでしょう。
さて、打ち込み練習と呼ばれる、主に投げ技の練習方法ですが、初心者や技の掛け方を基本から見直す場合に実施します。
打ち込み練習で出来る投げ技
投げ技なら何でも、打ち込み練習で出来るわけではありません。
背負い投げ、内股、払い腰、大外刈りなど、相手と対峙し、腕や足の使い方、技を掛けるタイミング、力の入れ方や方向などいろんな要素が必要な技を練習するものになります。
足払いや小内刈りなどの足技、巴投げや横車などの捨て身技など、相手が止まっている時ではタイミングが取りにくい技、掛からない技は練習になりません。
これらは実際に動いて、相手の動きを読んで掛けることで初めて練習になります。
具体的な打ち込み練習の方法とは?
背負い投げを例にすると、右組みの場合は、引き手の左手の引き方と、釣り手である右手の釣り方、力の入れ方や方向を確認します。
足は、膝を曲げると同時に滑り込むようにし、相手の股下に入る。
体は下から突き上げるように、斜め下から相手を持ち上げるようにする。
それに加え、腕、足、体の力に入れ方や動き、タイミング全てが揃うようにする。
これらがきちんと出来て、初めて技が掛かるようになる。
この相手が止まった状態で技を練習することで、技を掛けるために必要な要素を覚えることが出来るのです。
内股なら、引き手を引き、釣り手で相手を持ち上げながら、相手と胸を合わせるようにし、同時に軸足の膝を少し曲げ自分の体を沈ませるようにする。
次に、跳ね上げる足(太ももの外側から裏側のハムストリングあたり)を相手の内ももに沿って上に跳ね、軸足を瞬間的に伸ばす。
このすべての要素が揃わないと、背負い投げ同様にうまく掛からないことになります。
上手な人になると、打ち込みの時には相手の体が、ポンポンといかにも軽そうに飛び跳ねるようになります。
初心者の内は、腕の動き一つ取っても考えながら行うので、ぎこちないのが一目瞭然です。
打ち込み練習がうまいと
試合の前などに打ち込み練習をしているのを見ることがありますが、自然にキレイに掛けられている選手は、試合でも一本を量産しています。
それだけ何千回も何万回も、打ち込みをした結果だと思いますが、体の各部の動き、タイミング、力に入れ方が体に染みついている証拠です。
そんな練習をしなくても、技が勝手に覚えられた、俗にいう天才は別として、きちんと基本である打ち込み練習から始めるのが王道です。
地道な練習ですが、嫌がらずにやってみましょう。