柔道の代表的な投げ技に、背負い投げがあります。
文字通り投げようとする相手を、背中に背負って投げる技ですが、初心者の頃から学ばせるところも多くあります。
しかし、入門技として教える反面、コツをうまく掴まないと、なかなか持ち上げられなかったり、タイミングがズレた状態で技に入ってしまい返されてしまったりと、注意点も多い技です。
では、背負い投げの入り方の注意点と、あまり力を必要としないタイミングの取り方を考えたいと思います。
なお、背負い投げには、双手(もろて)背負いと一本背負いの2つがありますが、より入門とされる双手背負い投げについて説明していきます。
双手背負い投げは、両腕で掛ける技
双手背負いということで、左右の腕を使って相手を引き出し技をかけることになります。
入門用の技として一般的に教えられていますが、両方の腕を使う分、力が入れやすいのが理由のひとつになっています。
基本的な入り方ですが、引き手を引いて相手を引き出す、と同時に、釣り手でも相手を引き出しながら吊り上げる形になります。
次に、相手を吊り上げた状態になったところで釣り手の腕を曲げ、肘を相手の脇の下に入れ込むようにします。
この時、ただ肘を脇の下に入れようとしてもうまく行きませんので、両足を曲げながら入ります。
相手の両足の間に入り込んだら、体が前を向くように回転させますが、両腕はそのままか、少し相手を引く様にするといいでしょう。
こうすれば、相手の体が自分の背中に乗るような位置に来るので担ぎやすくなります。
ここで注意ですが、自分の体を沈めながら回転させるのですが、引き手と釣り手で相手を勢い良く引いてしまうと、相手の体が背中に乗らずに担いだ時にズリ落ちやすくなってしまいます。
もしくは、自分の頭を超えてしまい、同様にうまく背中に乗せられなくなります。
この背中にうまく乗せるというコツを覚えるには、引き手と釣り手を使って引き上げ、どの位置に相手が来た時が一番楽に担げるかを探すことです。
うまく背中の上部に乗せられた時には、相手と自分の重心が一直線になるので、びっくりするほど軽く感じるようになります。
双手背負いでのタイミングの取り方
さて、入ったり持ち上げたりするタイミングの取り方のコツですが、上半身、つまり背中の上部に乗せるタイミングとしては、おんぶをイメージするといいでしょう。
相手の体が背中に乗るのにタイミングを合わせて、乗せた瞬間に足の屈伸を使って持ち上げると、楽に担ぐことが出来ます。
これが相手の体が後ろに行き過ぎていると、自分の体が前に出なくなるので、せっかく引き手と釣り手で引き出した意味が無くなってしまいます。
逆に、相手の体を前に出しすぎた場合には、自分の頭に相手が乗るような形になり、潰されやすく相手が有利になってしまいます。
タイミングの取り方がうまい入り方の事例としては、① 相手を引き手で引く。
② 釣り手で引きながら挙げる
③ 膝を曲げ相手の股下に入る
④ 相手に背を向け、自分の背中に相手の体を乗せて担ぐ
⑤ さらに引き手を引いて、前回り受身の要領で体を捻る
なお、①から③はほぼ同時に行うことが、スムーズに入ることが出来るコツです。
④まで行った時点で、相手の体は浮いているので、後は投げるだけです。
この一連の動作が出来れば、驚くほど楽に投げることが出来ますので練習してみてください。