いろんなスポーツでもよく、”己に勝つ”とか”自分に負けるな”と言われますが、柔道も同じです。
ただ、いろんなスポーツにも伸び悩むスランプと呼ばれる時期があり、もう辞めようと思う時もあります。
特に柔道は個人競技で、あくまで1対1で戦う競技である以上は、辞めるも進むも自分次第となります。
精神論を論じれば勝てるのであれば苦労も少ないと思いますが、相手に勝つ前に自分に勝つ必要があります。
個人競技ということで、柔道は自分の勝つことの重要性が高い競技と言えます。
試合中に誰かに助けてもらえない孤独感
団体戦でも個人戦でも同じですが、相手と1対1で試合をします。
個人戦なら自分が負けても、監督に叱責されたりするかもしれませんが、自分さえ納得すればそれで済むというある意味気楽さがあります。
次の試合で勝てばいい、別な機会に入賞できればいいと、自分を甘やかすことも自分次第でいくらでも出来ます。
それが団体戦、しかも重要な大会で入賞できるかどうか、これに勝てば何年ぶりかの大金星などと言った場合はプレッシャー感が半端ではありません。
試合の前には緊張から体が動かなくなったり、人の言葉が頭に入らなくなったりと、自分が自分で無くなることがあります。
つまり試合の前から、これから戦う相手以前に、すでに自分に負けそうになっている状況になります。
“自分が負けたら全てが水の泡”などと考えたら、もう逃げ出したい気持ちで一杯になります。
まさに勝てば天国、負ければ地獄ですが、それを考えたら更に自分を追い込むことになるでしょう。
自分のせいで負けたという後ろめたさ
重要な試合で勝てばヒーローですが、負ければ誰も言葉を掛けられず呆然とするしかありません。
それに仲間には”次があるから”とか”今回は仕方が無い”などとねぎらいの言葉を掛けられても、ウソに聞こえてしまいます。
どんな人でも試合の前日には緊張して眠れないとか、負けた時を考えると気が気ではないとか、マイナス思考が働きがちです。
一人になると次第に悔しさと不甲斐無さ、孤独感が増してきて泣くぐらいしか出来なくなってしまいます。
下手をすれば、この負けがきっかけとなって自信喪失し、練習にも身が入らず、レギュラーの座も明け渡すかもしれません。
もうこうなってしまえば誰も助けることは出来ません。
試合で自分に勝つには
このようになってしまう原因の一つに性格がありますが、なかなか治そうと思っても治せるものではありません。
経験上、普段の練習では誰にも負けないのに、試合のような重要な場面で緊張し体が動かず負けるのを幾度となく見てきました。
私もそうですが、場数が少ないためか試合に出ても勝てずに、自信を失っていました。
しかし何度かそのように気落ちしたり、自信喪失を繰り返すうちにある時ふと気付きました。
“負けても良いんだ、負けたらその時だ”と。
試合に出ている皆には、言葉で言うのは絶対にダメですが、自分の心の中ではごまかしても良いと思います。
少しバカになることで、緊張も解け気負うものが軽くなると、自然に体も普段どおり動くようになりました。
気持ち次第ということになりますが、負けたらどうしようどうしようでは無く、逆の発想も時には必要かと思います。
性格もまじめ過ぎると良くないのかも知れません。