いろんな武道について、それぞれ発祥の地というものがあります。
中国拳法なら中国、ボクシングは古代ギリシア、ムエタイはタイなどになります。
柔道にも発祥の地がありますが、それは日本ということになります。
柔道は、実は産まれてからまだ100年程度の年齢で、いろんな武道と比べると歴史は浅い部類に入ります。
ただ、柔道は技などを完全にまっさらな状態から編み出したわけではありません。
日本に古来から伝わる、柔術という古武道を元に技を再編成し、近代的にしたものになります。
柔術とは何か
柔道の元になった柔術は、日本の戦国時代に相手を確実に倒すために編み出された武術になります。
今とは考え方が異なりますが、確実に相手を仕留める、つまり殺すために必要な技を集めたというものになります。
それゆえ、かなり危険な技もあり、もし今の時代に間違って使えば大変なことになるものも含まれています。
代表的なものとして紹介すると、体の前面から地面に叩き付けられる、つまり受身が取れない逆投げ。
相手の急所を攻撃し、絶命させるために編み出された当身技。
それ以外にも、腕の関節を極めながら投げる、足を持って頭から落とす、倒れた相手に膝を落とすなど、えげつない技が多数です。
これを現代で使ったら確実に逮捕されてしまうことでしょう。
このような技に制約を施し、技を一部禁止したり、一本や技あり、有効などのポイント制にすることでスポーツ化したのが柔道と言うわけです。
柔道はスポーツなのか、武道なのか
よく言われることですが、柔道を明治時代に編み出した、嘉納治五郎先生は、各柔術を学んでいくうちに、体を鍛える目的で再編成できないかと考えたのが柔道です。
柔道の心得格言にもありますが、”精力善用”というのがその真髄になります。
まず、柔道では、危険な逆投げや当身は使うと”反則負け”になってしまいます。
それに頭から落としたり、腕を極めながら投げる行為も反則になります。
このように投げても必ず受身が取れ、重篤な事態にならないように技を選び体を鍛えることを目的とし、良いことに使いようにという想いから柔道が出来上がりました。
と同時に、昔は生きるか死ぬかのどちらかしか無かった判断が、一本や技ありなどのポイントの数や内容で優劣を付けるようになりました。
これが競技として、スポーツとして今に至る理由になっています。
危険な技を廃したとはいえ、武道であることに違いはなく、使い方を間違えれば殺してしまうこともあるでしょう。
嘉納先生の、良いことに使い世界平和のために、という想いで使ってくれればいいのですが、一部そのような考えを無視し使う輩がいることも事実です。
柔道は日本が発祥の地ですが、あくまで武道ということをわきまえ、良いことに使うよう鍛錬していただきたいと思います。