柔道では今までオリンピックに出場する権利を得るには、国内外の大会での実績やオリンピック委員会の推薦などが選考の材料とされてきました。
が、中には、どう見ても選ばれないと思われていた選手が代表になったり、逆に有力視されていた選手が候補から落選したりと、選考基準があいまいであると言う批判も多くありました。
柔道に限らず、他の種目でも同じようなことが起こっていますが、何故でしょうか?
それは、選手が出場することで得られる名誉が関係していると言われています。
日本は昔から忖度(最近よく耳にしますが)を大事にすると言われていました、要は、暗黙の了解です。
いくら実力があるから、この選手が妥当だと言っても、大多数がこちらの選手が品格では上である、と言われれば、逆らうことは後々良くないことが分かっているからです。
このような悪しき文化が、まだまだ日本には残っています。
ランキング制度ができ、ある意味目に見えて、誰もが納得できる制度が出来たことは、公平で先進的です。
最近ボクシングでも、贔屓とも忖度とも取れる行動が批判されていますが、選手への侮辱とも取れる行動は、無くなって欲しいと思います。
ランキング制度で何が変わるのか
さて、ランキング制度とは何か、おさらいしてみましょう。
まず、世界選手権などの大会が格付けされ、その大会の順位に応じたポイントが各自に付与されます。
例えば、格付け”A”の国際大会で試合をすると、ポイントはそれぞれ、1位:10p、2位:5p、3位:3pが付与されます。
別の格付け”B”の国際大会に出場したとすると、1位:5p、2位:3p、3位:2pとなります。
このように大会によって格付けがされているので、どちらの大会でも1位を取ったから同じポイントが得られるとは限りません。
このポイントを重ねていって、オリンピックの選考時に、同じ階級でもよりポイントの多い選手が代表として選ばれるという仕組みになっています。
なお、今までは国ごとに、出場選手を選んでいたのですが、このポイント制に変わってからは、ポイントの多い順に選ばれるので、国によっては誰も選ばれない、と言うこともあり得ます。
ポイント制になって他に変わったこと
ポイント対象となっている大会は、世界選手権、マスターズ、グランドスラム、グランプリ、ワールドカップ、大陸大会となります。
日本の、全日本柔道選手権大会は対象になっていないので、ちょっと残念ですね。
なお、変わったことで大きなトピックスとしては、”効果”が無くなった事でしょう。
これは、2020年の東京オリンピックでも同様ですので、”有効”以上でないと審判の判定になるということです。
もう一つは、ゴールデンスコアの導入で、試合時間を3分に短縮したことは画期的でしょう。
今までは国際大会は5分という時間でしたが、”待て”などで中断することを考えると長くなる傾向にありました。
時間が長いと、見ている方は飽きてしまい、人気が無くなるというバレーボールの事例がありますが、見ている者を飽きさせない意味では有効であると思います。
ポイント制が採用されたことで、公平さが増し、選手にとってはいい傾向だと感じます。
日本国内の大会も、目に見える代表選考になるといいですね。