柔道において一つの投げ技を極めるということは、その技を使ってどんな状況でもポイントが取れるようになったと解釈できます。
しかし、そこまで到達するのは簡単なことではなく、必死に辛い練習を続け、やっと通用するようになったことでしょう。
あまりに技が掛からなくて、簡単そうに見える他の投げ技を練習したり、また戻ってみたりと、いろいろ試行錯誤したことでしょう。
このように結論から言って、柔道には簡単に出来る投げ技はありません。
個人に合う技を見つける
最初から簡単に出来る投げ技は無い、といってしまいましたが理由があります。
それは、投げ技を一つでも、誰にでも通用するレベルまで習得しようとすると、数ヶ月や数年掛かることはザラです。
柔道初心者の頃に覚える投げ技ということで、殆どの人は監督や先輩の勧める投げ技を練習したと思います。
大きい人は大外刈りや払い腰、小さい人は背負い投げや釣り込み腰など、大体指導する技は決まっています。
これは個人の体格を見て判断したものですが、各個人の身体能力や利き腕などの潜在傾向が考慮されていません。
なので、宛がわれた技がその人の特性や潜在能力にドンピシャの場合は、どんどん上達し簡単に覚えることが出来るでしょう。
場合によっては、人の動作を見ただけでも簡単に真似が出来てしまい、直ぐに投げることが出来る天才もいます。
しかしその逆で、身体的特徴が合わない技であった場合は、人より上達が遅いなどと言われてしまうでしょう。
人によっては、柔道の面白みを体験する前に、諦めて辞めてしまうこともあるでしょう。
そうならないように、もう一度自分の特徴を調べ、力重視の技がいいのか、タイミング重視がいいのかなどを勘案して、合う技を探したほうがいいでしょう。
人間には利き腕、利き足がある
人間には、必ず利き腕と利き足があります。
柔道も、右で組んで右で投げる人、左で組んで左で投げる人、またはどちらも逆の人と様々です。
私は左利きだから、左で組んで左で投げるほうが自然に技が掛けられるな。
と無意識のうちに自然に動く動作で技を覚えたほうが、上達が早く、簡単に覚えられることになります。
反対に利き腕などが逆の技を練習した場合は、自然に体が動かないのでぎこちなくなり、上達も遅い結果となってしまうでしょう。
まずは、利き腕、利き足を見つけることです。
力があるのか、タイミングの取り方がうまいのか
利き腕利き足の判別と同じですが、柔道をやり始めた頃には、同じ年齢と比べて、力がある場合は、背負い投げや払い腰、大外刈りなどの力が必要な技をお勧めします。
理由は、体格もそうですが、力があると言うことは、全身の筋力バランスも整っていると言うことが多いので、腕や足を同時に使う技が合っているということです。
腕を使い相手を崩しながら、脚を曲げる伸ばす、相手を担ぐ、など力を同時に入れる要素が多い技が向いているでしょう。
逆に力が無いけど、瞬発力やタイミングの取り方がうまい人はどうでしょうか?
力で掛ける技を掛けても、相手はびくともしないので、体が出来上がって筋力が付くには相当な時間が掛かるでしょう。
さすがにそれを待っていては、柔道の出来る人との差はどんどん開いていき、柔道自体つまらないものになってしまいます。
そこで瞬発力のある人は、瞬間的に俊敏な動きが必要な足技をお勧めします。
小内刈り、大内刈り、小外刈り、足払いなど自分の力をあまり使わなくても、タイミングをうまく合わせれば投げられる技を習得しましょう。
さて力も無い、タイミングの取り方も悪い、でも持久力だけはあるという人はどうでしょうか?
普通で言えば、とっても無理だから辞めたら、と言われるタイプです。
確かに、正直言って直ぐに何か技を覚えられるレベルではないので、地道に練習をして体を作っていくことが必要になります。
でも逆に考えると、持久力があると言うことは、良く考えれば人の2倍練習をしても平気な顔をしているということになります。
皆がキツイ練習でヘロヘロになっている時に、余計に練習をして技やタイミングを覚えてしまえばハンデは帳消しです。
いろんな技を試す
人の技を見て真似をして判断するのもいいですし、自分でいろんな技を掛けて自然に体が動くのか、それともぎこちないのかを判断してみるのもいいです。
また、自分が技を掛けるところをビデオに撮ってもらうのも一つの手です。
いくら自分では正しい入り方をしていると思っても、周りから見れば、ここがダメだから逃げられるんだよな、と言われているかもしれません。
ビデオで自分の悪い部分を見つけ、正しく直せるのか、いくらやっても直せないのかで技が合っているのかを判断してもいいと思います。
どちらにしても、いつまでも自分に合わないことをしていても、成長が望めませんので、拘りを捨てて考えを切り替えることも必要です。
特に学生などは時間が限られるので、合わない技を練習して、自分のモノに出来なかった時の、時間を無駄にした、という失望感は、言い表せません。
時間は無限ではないので、効率よく自分に合った技を習得しましょう。