柔道は、遥か昔からあった武術ではありません。
柔道の起源は、明治15年(1882年:約100年前)に加納治五郎先生が、いろんな流派の柔術や歴史を学び、勝敗をルール化したものになります。
投げ、固め、絞め、関節など格闘技の要素が多く残っていますが、当身技(拳での突き、蹴り、手刀など)や逆投げ(受身の取れない投げ技)などの危険な技は排除されています。
今の柔道でも、使い方を間違えれば、大怪我では済まないほどのダメージを相手に与えてしまいます。
でも、柔術を使っていたのは戦国時代でしたので、歴史は長く、今の試合は”死合”と呼ばれ、戦場では必ず相手を倒す、つまり殺す技を身に着ける必要がありました。
戦場では相手に倒される、イコール殺されることを意味するので、当然のことかと思います。
今では殆ど知られていませんが、日本古来の柔術には相手を一撃で殺せる技があるそうです。
柔術とは何か
柔道の元、起源となった柔術ですが、頻繁に名前を聞く、ブラジリアン柔術とかグレイシー柔術とかの寝技主体のものではありません。
現在の柔道と空手と合気道が合わさったような形で、パンクラスやシュートなどの着衣版と言ったほうが近いかも知れません。
さて、戦国時代には相手を倒すために必須だった柔術ですが、長い歴史の中で改良され発達してきました。
刀が使えなくなった場合、手で相手を倒すことの出来る技を持っていないと、簡単に刀で切られて殺されてしまうでしょう。
刀が無くても戦える手法として、柔術が必須と言われ、武士にとっては剣術に匹敵する武術として習得されてきました。
因みに現代でも、相手への突きによるダメージよりも、投げによるダメージの方が大きいと言われます。
空手も一撃必殺ということで鍛錬していますが、相当な達人でもないと一撃で殺すことは難しいでしょう。
しかし、投げ技は投げること自体は何のダメージも与えませんが、投げた先がコンクリートだったり岩だったりし、頭から落とされたらほぼ確実に死んでしまうでしょう。
その時の地の利を生かすことで相手を確実に仕留めることも、投げ技では可能です。
なお、柔術は、その相手を確実に殺す技を鍛錬する方法の一つでした。
今の柔道は危険では無いのか?
柔道は、体を動かし鍛えることによって、精神的、肉体的に強くなろうという考えの下、長い歴史のある柔術から技を選び出し改良し、加納治五郎先生が網み出した武術です。
ゆえに、そのまま使えば相手を殺しかねない技を使わず、体を鍛えられるように、と言う考えの下、考案されたのが柔道の起源になっています。
柔道の起源とも言える講道館道場にも掲げられていますが、”精力善用”という、力や技を良いことに活用ししなさい、という教えになっています。
今の柔道の技も、一歩間違えて使えば危険ですが、基本を守っていれば畳の上で投げるたびに死ぬような技はひとつもありません。
昔の戦では”参った”はありませんが、今ではそれが許されています。
柔道は生まれて約100年という短い歴史ですが、全世界に知られるほどになっています。
スポーツ化したとはいえ、使い方を誤れば、柔道技でも死に至らしめることも出来ます。
しかし、相手に怪我をさせないように技を掛けることも大事と考えて、きちんとした技を掛けるように心がけましょう。