柔道をしていると、よく”礼に始まり礼に終わる”と言われます。
練習を始める時、乱取りをする時、試合の時など、ことある毎にお辞儀をします。
他のスポーツでも同じですが、特に日本の武道は礼をすることに拘ります。
これは、相手のことを敬う、尊敬するという意味が込められていますが、とても重要視しています。
時には、この礼を重んじない行動をしたため、負けてしまったりすることがありますので注意しましょう。
礼を重んじる理由
お辞儀をするのは日本だけの文化で、似たようなものにタイやインドなどの手を合わせる動作があります。
日本の武道は、一説には中国から伝わったとされていますが、特に礼をすることが大切であるという考えが重視されていると思います。
柔道の試合では、始めに礼をし、終わってからも礼をしますが、これは柔道の起源が関係しています。
元になった柔術を使っていたのは戦国時代でした。
相手を殺し、命を奪うために、体を鍛錬し武道を極めてきました。
時には敵の大将の首を切り落とし、その首を自軍の大将に差し出せば、英雄扱いされる世の中でした。
今でも人の命を取るということは、かなりの重罪とされているのはお分かりでしょうが、それだけ相手を思う気持ちが礼を大事にすることに表れていると考えます。
人間は他の動物とは違い、何十年も生き、言葉を話し、物事を考える特殊な生き物で、人それぞれに人生があります。
日本では、礼を尽くすなどよく言われますが、これは相手のことを考えてあげる、その人の人生を尊重することから始まっていますので、おろそかにしてはいけない考えがあるようです。
試合で礼をしない場合
試合で礼をしない場合はどうなるのでしょうか?
いろんなケースを見ましたが、試合開始時にお辞儀を中途半端にした選手が、いきなり指導を貰ったり、勝ったあまり喜んで礼もせず畳を降りた選手は失格、一本負けになったこともあります。
やはり柔道において、相手があって初めて試合が出来るのですから、相手を尊重しない態度は精神に反するという考えなのでしょう。
柔道の試合では、何度かやり直しさせますが、ある程度きちんとした礼でなくても試合を始めてしまいます。
少し礼をおろそかにしてもいいのでは、速く試合を始めようという気持ちもあるのかも知れません。
対して、一番礼に厳しいと思えるのが剣道です。
剣道は元をただせば剣術、つまり刀で相手を切り殺すため、より相手の無念やら尊重やらの意識が強い様に思います。
礼をきちんとしない場合には、やり直しを何度もさせますし、やる気のない礼をした場合は、即刻失格退場となることもあります。
判定に不満を漏らしたり、突っかかったりした場合には、○○か月出場資格停止などの処分もあります。
柔道ではここまでのペナルティーは聞いたことが無いので、かなり厳しいと思います。
礼をすることは、気持ちを落ち着けることにも繋がりますのできちんとした礼を心がけましょう。